・・・ある日曜日のことでした。めったに家にいない私がめずらしく家にいて、娘にキーボードを聞かせていると、(たしか、トトロやったと思います。)
「へーっ、キーボードじょうずに弾いてるやんか。」とその人は言いました。
見るとそこには母の友人が立っておられました。
ちょうど、うちの母とその友人である浮世家礼香さんが用事のついでに私の家に立ち寄ったときのことです。
「いやー、最近のキーボードは便利で伴奏もかってにつけてくれるし・・・」と私。
「いやいや、そんなけ弾けたらええやん。あんた、音頭せえへん?」
・・・・・・・・・
そう、これがきっかけです。
ずっと大阪に住んでましたから、河内音頭は知らないわけではありませんでしたが、まさか自分が音頭をやるなんて思ってもみませんでした。しかし、河内音頭のあのなんともいえないノリがちょっと興味をそそります。
「いっぺん、のぞいてみようかなぁ。」
そんな、軽い気持ちで練習をのぞいたのが私と河内音頭との出会いでした。
練習は週に1回で、とにかく皆さん真剣に練習しているのにびっくりしました(あたりまえか・・)。あいさつもそこそこに、とりあえず用意してもらったキーボードの前に座り、自分なりに浮世会のリズムに合わせて・・・・・・と。
・・・・・あ、合わない。
コード進行が難しいわけではないのに・・・・とにかく合いそうで合わない。
これが、初めての練習でした。よく考えてみれば、枕(音頭の出だしの文句)を口ずさむこともできない私に調子がとれるわけがない。
とにかく、譜面でも書いて覚えなきゃ・・・と秋若師匠に借りたテープをもとに何とか譜面に落とそうとするが、どこで小節を区切ったらいいのか・・・。
だいたい音頭って2拍子なの?4拍子なの?
で、とにかく自分なりに調子を納得させて、いざ練習に・・・。
「げげっ、出だしがテープとちゃうやん・・・・。」
そうです。音頭というのは、ご存じのとおり、読み手によって枕も節も違うものなのです。(正確に言えば音頭の節と節のつなぎ方が違う。)
「これは、一人一人の音頭を聞いて、まるっぽ覚えるしかない・・・。」
そう覚悟を決めて、とにかく合おうが合うまいが・・・ブンッチャッチャッ ブンッチャッチャッ。
音頭って何拍子なん?・・・・変則なんだなぁ、これが。
ある日のこと、いつものように練習に行くと、
「いっぺん、音頭取ってみいへんか?」と秋若師匠。
「えっ! それはちょっと・・・。だいたい俺、歌はあかんし・・・。」
「まあ、やってみいな。自分で音頭取ったら、この節の次にはこの節がくるっていうのが分かってくるし。」
このころで、ちょうど1年目ぐらいだったでしょうか・・・。
浮世会のメンバーの音頭も大体覚えかけた頃でしたが、ちょっと節を変えられるとワタワタしてしまい、どうにもまだ掴めきれない様子でした。
(音頭を覚えるために、まぁ下手でもやってみよか・・・。)
秋若師匠にいただいたネタは、「姿三四郎」。
師匠にお手本のテープを録音してもらって練習することになったのでした。
さあ、どこで練習しょうか・・・誰にも迷惑をかけなくて、しかもテープが聴ける場所・・・
そう、通勤途中の車の中が私の練習場と化しました。
師匠のテープに合わせて
「エェ〜、サァアテハ〜 イチィ〜ザァノ〜・・・」
(ひゃぁ〜、高い声やなぁ。)
音頭を歌うのも初めて、しかも声の低い私にとって、どんな顔で歌っていたやら・・・。おそらく、バックミラーで私の顔を見た人はただ事ではないと思ったハズです。
とにかく歌えない、分からない。拍子を覚えるつもりが、今度は節も覚えなきゃならない。で、このとき知ったのは音頭っていうのは、音階もちがうということでした。
(ドとレの間には半音があるけど、音頭はそれだけやない・・・でないと一本調子で音頭にはきこえへんもんなぁ。)
ますます、難しくなってきた。
(えらいことになってきたなぁ。)
それでも、車の中でガナリ、練習でスットンキョウな音頭を師匠に指導してもらいながら、月日は流れていきました。あるとき風呂で音頭を口ずさんでいると(これがちょっとエエ気分)、外から長女と次女に「エンヤコラセー ドッコイセー・・・」と合いの手を入れられ、苦笑いした思い出があります。
そんなこんなで半年ぐらいかかってようやく、最後まで読めるようになりました。(もちろん、下手は下手ですけど・・・)ほんと、歌を体で覚えたのはこれが初めての経験です。
しかしながら、師匠が言ったように河内音頭というものが以前よりは分かるようになりました。
練習した甲斐があったというもんやね・・・。(自己満足)
音頭を初めてはや?年、いまだにキーボードも満足に弾けず、音頭もうまくは読めないけれど・・・最近では、太鼓やギターの練習までやってます。音頭はやっぱり太鼓やね(ってどないやっちゅうねん。)
まあ、歌はともかく楽器だけはモノにしたいと練習に励んでいる今日このごろです…。